マサッチ@左利きフリーランス 〜田舎で稼ぐ〜

南アルプス市の山間部に移住。田舎で稼ぐビジネスモデルをコンセプトに日々奮闘中。


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M(仮名)〜完璧な人妻〜1

M(仮名)32歳。

 

結婚して5年。夫は10歳年上の大手上場企業勤務。子供は男の子が2人。

 

夫の地方転勤で山梨に来ることになった。

 

Mは、現在専業主婦。

 

結婚前は都内でブライダル関係の営業をしていた。社内ではいつもトップセールスを争う、いわばキャリアウーマン。同性が憧れる存在でいた。

 

夫とは、出版会社のイベントで知り合いそのまま意気投合。そして結婚することとなった。

 

皆が憧れる家族をそのまま作ったような完璧な家族に見えた。

 

 

 

剛とMとの出会いは、Mの乗る車が近所のスーパーでパンクしているのを剛が見つけタイヤ交換をしたことからはじまった。

 

後日、お礼に伺ったMに対して

 

「そんなにかしこまらなくていい、誰だって失敗するのだから」

「肩の力は抜いていきましょうよ」

「ずっと、気を張ってたら壊れちゃいますよ」

 

と笑顔で話をしてたことをきっかけに日替彼女となっていく。

 

Mは周囲の期待に応えなくてはならないと、ずっと緊張した生活をしていた。

良き妻であり、良き母でなくてはならない。

同じように夫も、周囲の期待に応えなくてはと考える人で完璧を求める外面のよい仮面夫婦となっていき、パンク事件で恥をかいたとMはひどく夫に怒られ、心が沈んでいた。

 

「わたしだって、頑張っているのに」

「そんなに怒らなくても」

 

そんな夫とは対照的な剛の言葉がよみがえるのだった。

 

Mが剛に夢中になるのはそう時間はかからなかった。

 

Mは剛に会いたいがために理由を見つけては剛のもとへと足を運んだ。1人で暮らす剛に対して食事を気にかけたり、体調を気にかけたりとまるで恋人が彼を心配するかのように四六時中気にかけていた。

 

剛は、「大丈夫ですよ、どうにかなりますから」と優しい口調で話しかけ

 

いつもMに「ありがとう」とお礼を言っていた。

 

Mはもう、何年も夫から「ありがとう」と言われていない。夫にとってはMのすることは、やって当たり前になっていた。その「ありがとう」がうれしく、その言葉が欲しくてただただ、剛のところに行っていた。

 

その言葉だけの関係が進展したのは、剛が高熱で寝込んだときだった。

 

Mがおかずを多めに作ったからとお裾分けに伺うという理由で剛に会いに行こうとしたその日。

「行ってよいか」という朝のメッセージに反応が全くない。

どんなに遅くもお昼には返ってくるメッセージが剛からない。

 

そのことに心配したMは、居なかったら玄関に置いて帰ろうと思い、剛の住む家に向かった。

 

剛の自宅には、田舎には似合わない外車と普段の買い物などに使っていた軽自動車が置いてある。

Mはもしかして無視されちゃったのかな。私、人妻だもんねと残念な気持ちで玄関に近づくと辛そうな咳が聞こえた。

 

家の中に向かって「剛さん、風邪ですか?大丈夫ですか?」と声をかける。

 

しばらくすると、玄関の扉が開く。

 

いつも子供のような笑顔をしている剛が真っ赤な顔で出てきた。

 

無意識におでこに手をあてると直ぐに高熱とわかるくらい熱いのが手に伝わった。

 

そんな状況でも「いつもありがとう」という言葉と具合悪いのに無理して笑顔で応える姿をみて、Mは、人妻だから一線を越えてはならないという抑えていた理性が音をたてて壊れた。

 

剛をそのまま、布団の中に戻し、まだ見ぬ剛の部屋に足を踏み込む。

 

入った瞬間、剛の男の香りとどこか甘いバニラの香りがMを包んだ。

 

無造作にデスクの上にあるデザインを考えたと思われる書類。

 

本棚には趣味の本はもちろん、流行のハードブックなどいろいろなジャンルの本が本棚から溢れんばかりに入っていた。

 

とはいっても、大きな家のせいなのか思ったよりモノがないように思えたMだった。

 

剛の布団の脇には飲んだであろう風邪薬だけ。

 

キッチンには、料理をした形跡はない。ご飯を食べたかと聞くと昨日の夜から何も口にしていないという。

 

Mは剛のためにおかゆをつくり、少しでもおなかに入れないと風邪は治らないと促し、普段より小さく見える剛を見つめながら隣にひょこんと座った。

 

おかゆを一杯いただいた剛は「ありがとう」とMに伝えて、また布団の中に潜り込んだ。

 

その様子をMはずっと見守っていた。すぐに剛の寝息が聞こえてきた。それと同時に剛の手がひょっこり布団からこぼれる。

 

布団の中に手を戻そうと手をつかんだ瞬間、剛の手がMの手をにぎった。

 

一瞬、ビックリして剛の顔を見るが寝息をたてて寝ている。

 

無意識なんだと少しホッとした瞬間、剛の手がMの手をひっぱり剛の胸の中に引き込まれた。

 

Mは剛の早い心臓の鼓動を聞きながら、「ずっとこのままだったらいいな」と思ってしまった。

 

ハッと我に返り、剛の身体から離れようとした瞬間、今度は身体ごと引き寄せられ剛の顔の目の前に顔がきてしまった。

 

Mはもう気持ちの後戻りはできないと感じ、自ら剛の唇にキスをした。

 

何分が経過したのか、長い時間そのままでいたMはもう一度我に返る。

 

そして、ドキドキする自分の鼓動を感じながら玄関を飛び出した。

 

その日は、どんな夕食を家族とともにしたのか、何を話したのかも思い出せず。そして寝れずに次の日の朝を迎えた。

 

もう、剛には会えないと感じていたMのところに

 

その日の昼過ぎ、剛からのメッセージが届いた。

 

恐る恐るメッセージを開くとおかゆのことと昨日のキスの謝罪が書いてあった。

 

キスをしたのは私からなのに。と思いながらメッセージを無意識に返していた。

 

「もっと剛のこと知りたい」と

 

送信して、少し間を置いて気づく。

 

私はなんてメッセージを送ってしまったのかと。

 

何も返事がないまま夕食を作っている時、剛からのメッセージが届く。

 

「いつでも遊びにきていいよ」と。